名鉄尾西線は、一宮市の北西部にある玉ノ井駅から、名古屋本線も乗り入れる名鉄一宮駅、名鉄津島線の終点である津島駅を経て、関西本線と乗り換え可能な佐屋駅に至る路線です。
現在この路線の途中にある苅安賀駅付近では、線路の高架化する事業が計画されています。
本記事では、そんな苅安賀駅の高架化事業の概要について、レポートさせていただきます。
苅安賀駅の概要
読み方 | かりやすか(KARIYASUKA) |
所在地 | 愛知県一宮市 |
駅番号 | BS11 |
運営事業者 | 名古屋鉄道 |
所属路線 | 名鉄尾西線 |
キロ程 | 22.5km(弥富駅より) |
乗降人員 | 945人/日(2018年) |
停車種別 | 普通 |
駅構造 | 2面2線 |
ホーム有効長 | 4両編成 |
苅安賀駅は名鉄尾西線の単線区間内にあり、その区間の中でも列車同士の行き違いが可能な駅です。この行き違いはほぼ終日にわたって行われています。
名鉄尾西線は、名鉄一宮~津島間で毎時4本・15分間隔の頻度で運行されています。特に単線区間では、行き違い設備をフルに使用したダイヤを組んでいます。
そのため苅安賀駅は名鉄尾西線を運用する上で非常に重要な駅と言えます。
名鉄尾西線苅安賀駅高架化事業
事業内容
本事業では、名鉄尾西線の苅安賀駅を中心に、観音寺駅を含めた約1.8kmが事業区間となり、苅安賀駅の前後約1.1km高架化されます
本事業によって合計3か所の踏切が除却されます。
またこの苅安賀駅を高架化するにあたり、現在苅安賀駅にある単線区間の行き違い設備を観音寺駅に移設します。観音寺駅は高架化されません。
逆に苅安賀駅は高架化に当たって1面1線の駅になり、列車同士の行き違いは行われなくなります。
事業目的
本事業の最大の目的は、名鉄尾西線と西尾張中央道との立体交差化です。
この西尾張中央道は現在片側1車線の計2車線となっていますが、将来片側2車線、計4車線に拡大する予定です。
現在の2車線の段階でも交通量が多く、渋滞が発生しているため4車線化する前にこの問題を解消しようというわけです。
高架化によって鉄道ダイヤはどのように変わる?
この苅安賀駅の高架化事業において、鉄道ダイヤ面で注目すべき点は、単線区間内の列車同士の行き違い設備が観音寺駅に移設されることです。
これにより、萩原駅・苅安賀駅での対向列車の待ち合わせ時間が短縮し、名鉄尾西線で移動する際の所要時間が短縮されます。
上の画像は、名鉄尾西線の津島~名鉄一宮間のダイヤグラムです。名鉄尾西線は、先に説明した通り、単線区間で行き違い設備をフルに使用したダイヤを組んでいます。
この行き違いは苅安賀駅の他に萩原駅・森上駅でも行われていますが、名鉄一宮方面は苅安賀駅で、津島方面は萩原で長時間停車を強いられています。
この長時間停車がなぜ発生しているのかというと、列車の運行間隔に対して行き違い設備の時間的距離が短いからです。
名鉄尾西線のダイヤは毎時4本・15分間隔のダイヤです。なので、普通に走行していれば、列車と行き違いをしてから次の列車と行き違うのは7分30秒後となります。
したがって、行き近い設備の時間的距離も7分30秒間隔であることが理想です。しかし、苅安賀~萩原間の所要時間は3~4分しかありません。
これを観音寺駅で行き違いするようにすれば、観音寺~萩原間の所要時間は約6分になります。よって行き違いする駅を移設することで、対向待ちも短くなるというわけです。
西尾張中央道(県道14号線)とは
上の画像は国土地理院Webサイト「地理院地図Vector(試験公開)」で公開されている「標準地図」に加筆したものです。
西尾張中央道は愛知県一宮市の北端、北方町から真南へ南下し弥富市のほぼ南端である鍋田までを縦貫する路線です。尾張地方西部の南北の幹線といえるでしょう。
北端では岐阜稲沢線と接続し、岐阜県に至ることができ、また南側は国道1号線、東名阪自動車道、伊勢湾岸自動車道と接続しています。
表2.北尾張中央道の2015年の昼間12時間自動車類交通量
調査区間 | 交通量(台) | 路線名 | 車線数 |
中起交差点(一宮市)~名鉄尾西線(開明駅付近)~開明南交差点(一宮市) | 12930 |
岐阜 稲沢線 |
2 |
開明南交差点(一宮市)~苅安賀交差点(国道155号線)(一宮市) | 4 | ||
苅安賀交差点(国道155号線)(一宮市)~名鉄尾西線(苅安賀駅付近)~北高井交差点(一宮市) | 2 | ||
北高井交差点(一宮市)~市役所前交差点(稲沢市) | 4 |
||
市役所前交差点(稲沢市)~東海道新幹線~名鉄尾西線~(あま市)~蛭間町新田交差点(津島市) | 20889 | 一宮 蟹江線 |
|
蛭間町新田交差点(津島市)~神守町交差点(津島市) | 22201 | ||
神守町交差点(津島市)~川並交差点(蟹江町) | 20124 | ||
川並交差点(蟹江町)~東名阪自動車道(蟹江IC)~JR関西本線~近鉄名古屋本線~芝切交差点(国道1号)(蟹江町) | 27660 | ||
芝切交差点(国道1号)(蟹江町)~(弥富市) ~(飛島村)~稲荷西交差点(国道23号)(弥富市) |
21116 | 蟹江 飛島線 |
|
稲荷西交差点(国道23号)(弥富市)~操出交差点(弥富市) |
12951 | 名古屋 西港線 |
|
操出交差点(弥富市)~鍋田交差点(伊勢湾岸自動車道)(弥富市) | 12912 |
上記の通り、この西尾張中央道は特に南部で先に説明した大幹線と接続するため、交通量が非常に多くなっています。そしてその交通量に対応するように、南側の区間は片側2車線の計4車線となっています。
しかし、この西尾張中央道は名鉄尾西線と交差する地点が片側1車線の計2車線となっており、踏切前後の交差点の存在と相まって激しい渋滞を発生させています。
実際に行ってみた!
実際に現地を取材したときの様子は以下のリンクからご覧ください。
まとめ
苅安賀駅の高架化工事は、西尾張地方の基幹道路との立体交差による渋滞の解消やCO2削減だけでなく、名鉄尾西線の速達化にも寄与する重要な事業です。
本事業が安全かつ確実に進捗することを心より願っております。
参考文献
wikipedia(苅安賀駅)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%8B%85%E5%AE%89%E8%B3%80%E9%A7%85
愛知県
https://www.pref.aichi.jp/soshiki/ichinomiya-kensetsu/0000068160.html
平成27年度 全国道路・街路交通情勢調査
https://www.mlit.go.jp/road/census/h27/data/pdf/kasyo21.pdf
国土交通省国土地理院
https://www.gsi.go.jp/top.html
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