樽見鉄道樽見線は、JR東海道本線の岐阜県内の主要駅の一つである大垣駅から、樽見鉄道本社がある本巣駅を経て、樽見駅に至る路線です。
現在この路線の美江寺~北方真桑間にある県道53号線(岐阜関ヶ原線)との交差地点で立体交差化のための工事が進んでいます。
今回は樽見鉄道で行われている高架化工事において、2020年12月6日に仮線から高架橋に切り替わったので、その様子を報告します。
事業概要
事業の概要については、以下の記事に記載しておりますので、クリックしてご覧ください。
現地の状況
実際に現地に行って、線路切り替え後の様子を確認して参りました。切替直前、切替工事中、切替直後の様子を各所毎でまとめています。
宗慶踏切
下の画像は国土地理院Webサイト「地理院地図Vector(試験公開)」で公開されている「標準地図」に加筆したものです。なお下の画像以外にも地理院地図Vectorより引用+加筆したものがありますが、以降の画像ではこの説明を省きます。
2020年12月5日高架切り替え前
事業区間の北側、宗慶踏切からの様子です。線路のバラストが袋詰めにされて敷き詰められています。
このように仮線を列車が通過するのも12月5日で最後になりました。
深夜切り替え工事
深夜12時ごろの様子です。線路切り替えのため袋詰めされたバラストを線路脇にどかしています。
切り替え地点と踏切の間にこのようなランプが置かれていました。これは何の意味があるのでしょうか。
線路切り替え直後の様子です。まだバラストは敷き詰められていません。
2020年12月6日切り替え後
切替工事完了後の様子です。線路が切り替えられたのが明確に分かります。
本巣・樽見方の高架橋アプローチ部
2020年12月5日高架切り替え前
2020年12月5日時点の樽見方切り替え地点の様子です。まだ線路が仮線に繋がっています。
最も進捗が遅く、6月取材時点では未完成だった樽見方のアプローチ部もご覧の通り完成していました。
車内から見た樽見方切り替え部の様子です。作業員の方が立っていました。
深夜切り替え工事
ご覧のような黄色い機械が何か所にも投入されて作業されていました。
2020年12月6日切り替え後
切り替え後の様子です。手前の仮線から奥の高架橋への線路に接続されました。バラストが多く盛られているので、線路は見えづらくなっています。
線路切り替え後車内からの様子です。上が大垣方、下が樽見方になります。
供用を開始した高架橋を樽見鉄道の列車が駆け上がっていきます。この高架橋で県道53号線をオーバーパスしていきます。
平塚踏切
2020年12月5日高架切り替え前
切り替え前の平塚踏切踏切です。6月の取材以降、同踏切直上の架橋ために一時的に通行止めになったこともありましたが、切り替え直前の段階では通行できるようになっていました。
上が大垣方、下が樽見方になります。樽見方に見える高架橋のアプローチ部が完成しているのが分かります。
西側から見た平塚踏切付近の高架橋の様子です。上が大垣方、下が樽見方になります。
平塚踏切高架下の様子です。上が大垣方、下が樽見方になりますが、大垣方はここから高架橋になるので下に空間があるのに対し、樽見方はここからアプローチ部に入り下に空間がありません。
踏切西側で南北に延びる道路が、通行止めの上再整備されていました。
深夜切り替え工事
2020年12月6日切り替え後
上が東側から、下が西側から見た切り替え後の平塚踏切の様子です。遮断機が撤去されすっきりしました。
上が大垣方、下が樽見方の平塚踏切との交差部の様子です。交差部は高架橋の中でも造りが違い、鉄柵ではなく白い壁になっているので、高架化後も交差部が分かります。
白山踏切
2020年12月5日高架切り替え前
白山踏切は今回の立体交差化事業のメインになりますが、前回6月の取材時から大きな変化はなく、使用されていない遮断機が撤去された程度です。
白山踏切交差部より樽見方を見ると、踏切の遮断状況を中継する信号が立っていました。
上が大垣方、下が樽見方の車内からの様子です。ここからだと役目を終えた遮断機がすでに撤去されているのが分かります。
深夜切り替え工事
白山踏切は12時半ごろではまだ何も変化はありませんでした。実際に確認していませんが、交通量がより少なくなる1時~5時の間に遮断機の撤去が行われると考えられます。
2020年12月6日切り替え後
切り替え後、列車が県道53号線をオーバーパスするようになりました。道路改善の大きな節目を迎えたことを実感できます。
上が東側から、下が西側から見た切り替え後の白山踏切の様子です。こちらも遮断機が撤去されました。
上が大垣方、下が樽見方の車内からの様子です。4車線化予定のため。平塚踏切と比べるとかなり長い橋となっています。
美江寺・大垣方の高架橋アプローチ部
2020年12月5日高架切り替え前
大垣方のアプローチ部は前回6月取材から大方完成していたので、特に大きな変化はありません。
2020年12月6日切り替え後
切り替えが完了し、県道53号線の交差部に向かって25‰の勾配を上っていきます。
十四条踏切
2020年12月5日高架切り替え前
十四条踏切は、仮線の切り替え地点の近傍で、線路の高さが仮線と新線で異なるため、供用開始前に通行止めになりました。
切り替え後に仮線を撤去してから道路を舗装し、高さを直してから通行止めを解除すると考えられます。開通は来年の3月ごろの予定です。
上が大垣方、下が樽見方の車内からの様子です。仮線と新線で高さが異なることがはっきりと分かります。
また踏切は通子止めの最中でも稼働していました。
深夜切り替え工事
12月5日にこのような工事看板が立てられ、踏切のかなり手前から通行止めが為されるようになりました。ちなみに近隣住民は通行可能です。
2020年12月6日切り替え後
上が大垣方、下が樽見方の車内からの様子です。高架切り替え後も踏切は稼働していました。
大垣・美江寺方の高架橋アプローチ部
2020年12月5日高架切り替え前
上が大垣方、下が樽見方の車内からの様子です。樽見方と同様、線路のバラストが袋詰めにされて敷き詰められています。
十四条踏切から南へ1つ隣の踏切からズームして撮影した時の切り替え部の様子です。
深夜切り替え工事
大垣方の工事の様子です。畑が広がる中に大勢の人が線路切り替えのために作業をしています。
大垣方で線路の切断を見学しました。線路切断の際に火花が発生し、立ち上った煙が光に照らされています。
2020年12月6日切り替え後
切り替え地点はまだ軌道が安定していないため、慎重に進んでいきます。
車内から見た切り替え地点の様子です。バラストの白さが軌道の新しさを示しています。
県道53号線整備状況
県道53号線でも前回からまた工事が進捗しています。変化点をまとめていきます。
2020年12月5日高架切り替え前
まずは線路より東側の様子です。前回取材時は4車線のうち南側2車線が運用されていましたが、12月5日時点では一番北側と一番南側が運用されています。
道路北側では歩道の整備も進んでいます。雑草が取り払われ綺麗になっています。
歩道の整備はまだ完了していないため、踏切との交差部は通行止めとなっています。
踏切の西側でも整備が始まりました。道路と歩道が整備されると考えられます。
踏切の東側では交差点の整備が始まっています。新設された鉄柱から信号付きの交差点になると考えられます。
踏切より西側の様子です。土曜日の午前中に撮影したので、岐阜市方面の交通量が多く渋滞が長くなっています。
この渋滞は線路切り替え後も完全には解消されていません。踏切手前の一時停止による通行速度の低下だけでこれだけの渋滞が発生しています。
渋滞の解消には踏切の完全撤去による通行速度向上が必要です。早期の整備が望まれます。
まとめ
本事業の主目的である渋滞の解消はまだ完全には達成していませんが、ひとまず高架橋への線路の切り替えが無事完了し、供用を開始できたことは大きな変化だと思います。
ここ今回の線路切り替えは本事業において大きな節目となるでしょう。ここまで事業を進めることが出来たのは、ひとえに工事関係者の尽力あればこそだと思います。
また今回の取材に際し、工事関係者の方と何人かお話をさせていただきました。ブログのための取材という個人的な理由での撮影にも関わらず、大変親切に対応してくださり大変感謝しています。
高架橋の供用開始後もまだ事業は続きますが、安全に工事が進捗することを心より願っています。ありがとうございました。
動画版(youtube)
当方では、樽見鉄道高架化工事の2020年12月05-06日時点の工事の様子を動画でもまとめています。是非ご覧ください!
その他の取材日
2020年6月27日時点
2021年6月20日時点
参考文献(画像出典含む)
国土交通省国土地理院(画像には加筆されているものもあります)
https://www.gsi.go.jp/top.html
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