京王電鉄では、2020年10月30月に本線系統のダイヤ修正を実施します。
同線のダイヤ修正は、2020年2月22日以来8か月振りとなります。
今回は、このダイヤ修正の内容を個人的に注目しているポイントを中心に考察していきます。
https://www.keio.co.jp/news/update/news_release/news_release2020/nr200930_keioliner.pdf
出典:京王電鉄公式サイト
本改正の主な内容
京王ライナーを18・19時台で増発!
本改正の一番の目玉は、やはり京王ライナーの増発でしょう。以下の赤文字が増発列車です。
表1.八王子方面の下り京王ライナーの時刻表
停車駅 | 1号 | 3号 | 5号 | 7号 | 9号 | 11号 | 13号 |
新宿 | 17:00 | 18:00 | 19:00 | 20:00 | 21:00 | 22:00 | 23:00 |
↓ | ↓ | ↓ | ↓ | ↓ | ↓ | ↓ | ↓ |
府中 | 17:23 | 18:23 | 19:23 | 20:23 | 21:23 | 22:23 | 23:18 |
分倍河原 | 17:26 | 18:25 | 19:25 | 20:25 | 21:25 | 22:25 | 23:21 |
聖蹟桜ヶ丘 | 17:29 | 18:29 | 19:29 | 20:29 | 21:29 | 22:28 | 23:24 |
高幡不動 | 17:32 | 18:32 | 19:32 | 20:32 | 21:32 | 22:32 | 23:28 |
北野 | 17:38 | 18:38 | 19:39 | 20:39 | 21:38 | 22:38 | 22:33 |
京王八王子 | 17:41 | 18:41 | 19:41 | 20:41 | 21:40 | 22:40 | 23:36 |
表2.橋本方面の下り京王ライナーの時刻表
停車駅 | 31号 | 33号 | 35号 | 37号 | 39号 | 41号 | 43号 | 45号 |
新宿 | 16:40 | 17:40 | 18:20 | 19:20 | 20:20 | 21:20 | 22:20 | 23:20 |
↓ | ↓ | ↓ | ↓ | ↓ | ↓ | ↓ | ↓ | ↓ |
京王永山 | 17:05 | 18:08 | 18:47 | 19:47 | 20:47 | 21:47 | 22:46 | 23:45 |
京王多摩 センター |
17:08 | 18:11 | 18:50 | 19:50 | 20:50 | 21:50 | 22:49 | 23:48 |
南大沢 | 17:12 | 18:15 | 18:54 | 19:54 | 20:54 | 21:54 | 22:53 | 23:51 |
橋本 | 17:16 | 18:19 | 18:58 | 19:58 | 20:58 | 21:58 | 22:57 | 23:56 |
遂に帰宅ラッシュの18・19時台に京王ライナーが進出しました。後述しますが、この増発により18・19時台のダイヤパターンが20時以降とほぼ同等になりました。
新型コロナウイルスの影響で利用者が減っているとはいえ、客足がそろそろ戻ってきているはずです。ダイヤパターンの変更で車内混雑がどの程度変化するかが注目ポイントでしょう。
修正前後でのダイヤの比較
表3.明大前の18~23時の下りダイヤの修正前後での比較
さて次はダイヤ修正前後での比較をしてみましょう。こちらは京王電鉄公式サイトに掲載されている明大前で18~23時の下りの発車時刻表です。
ちなみに京王ライナーが明大前で乗降客扱いしないので、当方で加筆をさせていただきました。赤文字が八王子行き京王ライナーの発車時間、青文字が橋本行き京王ライナーの発車時間になります。
上の画像を見てもわかる通り、京王八王子行きの京王ライナーが1本、橋本行きの京王ライナー2本増発されています。この増発に対して、一般列車の減便はせず、スジをずらしています。
明大前断面では列車の本数が増加し、18~19時台でも23~24本/hが運行されるようになりました。つつじが丘で折り返しする回送電車も含めると26本/hになります。
18~19時台のダイヤパターンは、改正前20~21時台で採用されていたものをほぼトレースした形になっています。20~21時台との違いは08、48分発が準特急から特急に格上げされている程度です。
また修正前は、一部の京王八王子準特急が後続の特急橋本行きを待たずに発車していたため、京王八王子行きの列車は運行間隔が歪で混雑しやすい状態でした。しかし修正後は、完全に10分毎で発車するようになり、種別も特急に統一されました。
この修正により、府中・京王八王子方面への帰宅については、調布での接続の有無を考慮する必要が無くなりました。優等列車の混雑もいくらか緩和されるかもしれません。
逆に相模原線直通については、全て準特急に格下げとなりました。京王八王子方面との混雑のバランスを考えると致し方なしという所でしょうか。
さらに今回の修正により、種別ごとに下1桁まで揃えられた分かりやすい20分サイクルになり、さらに行先も揃えられるようになりました。平日は以下の表ように種別をまとめることが出来ます。
表4.明大前発車時刻別の各種別の行先・接続状況
発車時刻 | 種別 | 行先 | 接続状況 |
(6) | ライナー | 京王 八王子 |
新宿を毎時0分発。明大前では運転停車のみ。23:00発を除き高幡不動で各停高尾山口行きに接続。 |
(26) | ライナー | 橋本 | 新宿を毎時20分発。16、17時台のみ40分発。明大前では運転停車のみ。 |
8,18.28, 38,48,58 |
特急 (準特急) |
京王 八王子 |
調布で準特急・急行の橋本行きに接続し、さらに各停に片接続。府中、北野で各停に接続。20時以降一部が準特急に格下げし、千歳烏山でも各停に片接続。 |
16,36,56 | 準特急 | 橋本 | 千歳烏山、調布で各停と接続。調布で特急八王子行きに接続。多摩センターで区間急行と接続。毎時16分発は多摩センターから各停に種別変更。 |
0,20,40 | 急行 | 橋本 | つつじが丘と多摩センターで各停に、調布で特急(準特急)八王子行きに接続。 |
10,30,50 | 区間急行 | 橋本 | つつじが丘で各停に、多摩センターで準特急に接続。直後の準特急が多摩センターから各停の場合、その区間急行は多摩センター止まり。 |
2,12,22, 32,42,52 |
各停 | 高尾山口、 橋本 |
八幡山、つつじが丘で2本ずつ特急系統の通過待ち。つつじが丘で急行・区間急行と接続。府中、北野、多摩センターで特急(準特急)と接続。高幡不動で京王ライナーと接続。 |
上り京王ライナーピークの前後2本を定期化
上り2本の京王八王子発の京王ライナーが定期化します。6月から運行を開始した列車ですが、好調だったのか定期化しました。
橋本発が運行中止になった一方で八王子発が定期化した所をみると、やはり全体的な需要は八王子方面の方が大きいということかもしれません。
表5.八王子方面の上り京王ライナーの時刻表
停車駅 | 2号 | 4号 | 6号 | 8号 | 10号 |
京王八王子 | 5:47 | 6:04 | 6:27 | 8:31 | 8:56 |
北野 | 5:51 | 6:07 | 6:30 | 8:33 | 8:59 |
高幡不動 | 5:57 | 6:13 | 6:36 | 8:40 | 9:06 |
聖蹟桜ヶ丘 | 6:01 | 6:17 | 6:40 | 8:44 | 9:09 |
分倍河原 | 6:04 | 6:21 | 6:43 | 8:47 | 9:13 |
府中 | 6:07 | 6:24 | 6:46 | 8:50 | 9:15 |
↓ | ↓ | ↓ | ↓ | ↓ | ↓ |
新宿 | 6:28 | 6:47 | 7:13 | 9:16 | 9:40 |
相模原線の準特急の多摩センター~橋本間の各駅停車化を11~16時まで拡大。
相模原線では、11~14時で京王多摩センター~橋本間で準特急が各駅停車に種別変更しています。この種別変更される時間帯が16時まで拡大されます。
京王線は八王子、高尾、多摩センターと他社との競合をあちこちで行っていますが、橋本は他社との競合も少なくほぼ独占状態にあります。
強いてあげるなら、JR横浜線沿線からの乗り換えが小田急やJRと競合するかと思いますが、こちらはほとんど町田や八王子に出た方が便利なので、優等列車を各駅停車化しても影響は少ないと判断されたのでしょう。
今年は特に鉄道会社の経営が厳しく、コストカットできるところはどんどんしていきたい所なので、優先度の低い区間で減便がなされている印象です。
22、23時台の下り優等列車の本数を整理。
表6.改正後の平日下り明大前の優等列車と各駅停車の発車本数
優等列車 | 各駅停車 | 全体 | |
22時台 | 10本(-1) | 6本(+1) | 16本(±0) |
23時台 | 7本(-1) | 5本(-1) | 12本(-2) |
22、23時台は下り優等列車の本数が削減されました。各駅停車については、22時台は本数が増えた一方、23時台は各停も本数が削減されました。
働き方の変化等、利用状況に応じた変更かと思いますが、ライナー列車の価値を相対的に引き上げる意味もあると思います。
上り早朝深夜も一部減便
表7.明大前の4~6時の上りダイヤの修正前後での比較
プレスにはありませんが、早朝5時台の列車も一部減便となっています。削減対象は各駅停車2本で、それを補うためか橋本駅初電の区間急行が快速に格下げになり、さらに行先が本八幡行きになっています。
これも利用状況を踏まえた結果だと思いますが、時差通勤で利用者が増えていると思っていたので、個人的には意外な修正でした。
表3.調布の0時台の上りダイヤの修正前後での比較
また深夜0時台についても変更があります。
高尾山口発桜上水行きだった区間急行が、橋本始発つつじが丘行きの快速として運転されます。修正後の高尾山口から新宿への移動の最終は、12分繰り上がって23時29分発各停に乗り、北野で京王八王子からの特急に乗り換えるルートになります。
優等列車がつつじが丘までに運転区間が短縮された背景には、笹塚~仙川間の高架化工事が関係しているかもしれません。留置線に留置する編成数を減らして工事用地を確保する意図があるのではないでしょうか。
なお最終の快速つつじが丘行きは、終点のつつじが丘で新線新宿行きの各停に接続します。区間短縮の影響があるのは、高尾山口~京王片倉間のみとなります。
今後さらにどのような改正が見込める?
地下鉄線からの京王ライナーの新設
今回の修正は、18、19時台をしっかりパターン化させたことで、京王ライナーを設定する余地が生まれました。20分サイクルのダイヤなので、各系統1時間当たり3本の設定が可能です。
しかし、京王ライナーは八王子・橋本方面でそれぞれ1本ずつ、計2本しかありません。すなわち、下の図の通り明大前を毎時46分発の所にあと1本設定が可能です。
その1本は果たして設定されるでしょうか。この残り1本について、あくまで私見ですが、地下鉄線からの設定を予想します。
始発駅は車庫のある大島で、途中森下、馬喰横山、神保町、市ヶ谷を乗車駅とし、市ヶ谷から先は府中まで客扱いなし、以降は分倍河原、聖蹟桜ヶ丘、高幡不動、北野、京王八王子に停車すると予想します。
逆に橋本方面は利用客が少ないので設定されないと思います。それに橋本方面は、一般列車が急行・区間急行と多数設定されているので、十分だとも思います。
混雑バランスを整えるための種別・パターン変更
今回のダイヤ修正で京王ライナーが増発されましたが、一般列車の方は増発されませんでした。普段の混雑を考えると何とかして混雑の緩和をしたい所です。
とはいえダイヤ修正後は、1時間当たり23本(京王ライナーの枠を消費すれば24本、さらにつつじが丘折り返し分を含めれば27本)設定されており、これ以上の増発はほぼ不可能でしょう。
これ以上の増発は、明大前で列車が詰まってしまい、定時運行できなくなると思います。
もし列車の運行本数を変えずに特急・準特急の混雑緩和しようとしたら、準特急より下位の種別の列車をより上位の種別に格上げすることが必要です。当然、下位種別の混雑悪化とトレードオフです。
当方京王線の混雑には疎いのですが、無知を承知で改善案を提示したいと思います。いわゆる「ぼくのかんがえたさいきょうのダイヤ」ですね(笑)。
今回は、地下鉄線からの直通急行を準特急に格上げしてダイヤパターンを変えてみました。
表7.地下鉄直通の急行を準特急に格上げしてパターンを変更してみた20分サイクルダイヤ(妄想)
種別 | 行先 | 新宿発 | 新線新宿発 | 笹塚発 | 明大前発 | 備考 |
京ラ | 八王子 /橋本 |
0 | = | (4) | (6) | 0分発は新宿発八王子行き。20分発は新宿発多摩センターから各停の橋本行き。40分発は大島発八王子行き。府中と北野で各停に接続。 |
準特急 | 橋本 | = | 0 | 6 | 8 | 笹塚、千歳烏山、調布で各停に接続。 |
各停 | 高尾山口 | 1 | = | 7 | 10 | 笹塚で準特急に接続。桜上水で特急と区間急行の追越待ち。八幡山で準特急の追越待ち。つつじが丘で特急の追越待ち。調布で京王ライナーの追越待ち。府中で特急に接続。北野で特急と京王ライナーに接続。 |
特急 | 八王子 | 6 | = | (10) | 12 | 調布、府中、北野で各停に接続。利用状況に応じて準特急に格下げ。 |
区急 | 橋本 | = | 5 | 11 | 14 | 桜上水で各停に接続。調布で準特急の接続。多摩センターで京王ライナーと接続する場合は同駅止まり。 |
準特急 | 橋本 | 11 | = | 16 | 18 | 千歳烏山で各停に接続。調布で区急に接続。 |
各停 | 高尾山口 | 12 | = | 18 | 21 | 桜上水で特急の追越待ち。八幡山で京王ライナーと準特急の追越待ち。つつじが丘で特急の追越待ち。府中で特急と京王ライナーに接続。北野で特急に接続。 |
特急 | 八王子 | 16 | = | (20) | 23 | 調布、府中、北野で各停に接続。利用状況に応じて準特急に格下げ。 |
急行を準特急に格上げすることにより、笹塚での乗り換え込みになりますが、最速達種別の特急・準特急が合わせて5分おきに設定できるようになりました。
一方で一部の各駅停車が9分開くことになります。したがってその各駅停車は、明大前から約9分間の下高井戸~芦花公園間の利用者を拾うことになり、現行よりも混雑するようになるでしょう。
まとめ
という訳で今回のダイヤ修正は、先述の通り「有料列車を増発・一般列車を整理」した内容でした。
昨今は新型コロナウイルスにより鉄道会社の経営状況が著しく悪化しているので、高単価な有料列車の設定を優先し、一般列車を整理してコストカットするのは致し方ないのかなと思います。
何はともあれ、今回の京王ライナーの増発を好機と捉え、日々の通勤に快適さを確保する投資をしてみてはいかがでしょうか。混雑で窮屈な車内ではできなくても、京王ライナーの座席ではできることはあります。
その時間を活用し自己を成長させれば、この時代でも幸せを勝ち取ることが出来ます。私は、京王ライナーの座席を買ってゆったり読書を楽しみます。
以上、2020年10月30日の京王のダイヤ修正の考察でした。
参考文献(画像出典含む)
京王電鉄(夕夜間の京王ライナーを増発します!)
https://www.keio.co.jp/news/update/news_release/news_release2020/nr200930_keioliner.pdf
京王電鉄(時刻表)
https://www.keio.co.jp/train/station/index.html
wikipedia(京王線)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%AC%E7%8E%8B%E7%B7%9A#%E9%A7%85%E4%B8%80%E8%A6%A7
wikipedia(都営新宿線)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%83%BD%E5%96%B6%E5%9C%B0%E4%B8%8B%E9%89%84%E6%96%B0%E5%AE%BF%E7%B7%9A#%E9%A7%85%E4%B8%80%E8%A6%A7
wikipedia(京王ライナー)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%AC%E7%8E%8B%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%8A%E3%83%BC
wikipedia(京王5000系)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%AC%E7%8E%8B5000%E7%B3%BB%E9%9B%BB%E8%BB%8A_(2%E4%BB%A3)
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