名鉄の岐阜市内高架化!駅統合に線形改良もあり!まずは概要を確認!

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名鉄

岐阜市には名古屋本線の市内区間を高架化する計画があります。

なぜ高架化するのかというと岐阜市内では合計13か所で道路との平面交差しているからです。交通量の多い踏切では、そこを先頭に激しい渋滞となっています。

この渋滞問題以外にも岐阜市内の名古屋本線の線路設備には、鉄道を運営する上で様々な問題が存在します。

今回は、岐阜市内の名古屋本線の状況を本記事で整理するとともに、この岐阜市内の高架化工事の該当区間の様子を2020年7月5日に実際に取材して来たので、それを報告します。

まずは現地取材の前に計画概要を確認しましょう。

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名鉄名古屋本線岐阜市内高架事業概要

駅高架化計画

メインの事業は、「名古屋本線の岐阜市内区間2.1㎞の高架化」となります。

全体の事業区間としては、名鉄岐阜駅を含めた2.9㎞が相当し、この事業完了によって以下のように変化します。

・13か所の踏切の除却。その他すでに立体交差済みの道路の拡幅。
・名鉄岐阜駅構内の配線改良。
・加納駅と茶所駅の統合。
・線形改良による曲線の緩和。
・茶所検車区との入出区線の平面交差解消。
・境川の河川改修及び交差部の橋梁架け替え。

事業施工手順

事業の施工手順は、鉄道の高架化では一般的な仮線方式になります。

用地買収する建物の戸数を少しでも減らすため、一部は茶所検車区の用地を活用し仮線を敷設します。しかし、曲線部分を現行よりも緩やかな曲線にするため、完全に別線となる区間があることから、それでも約200戸の用地買収が必要となるようです。

事業期間は約15年とされています。

また先述の通り、一部仮線の用地に茶所検車区を活用するため、一時的に基地の収容力が減少する模様です。

それぞれの駅の概要

本事業の事業区間に含まれる駅は3つ(名鉄岐阜、加納、茶所)です。岐南は含まれません。

名鉄岐阜駅

読み方 めいてつぎふ(MEITETSU GIHU)
所在地 岐阜県岐阜市
駅番号 NH60
運営事業者 名古屋鉄道
所属路線 名古屋本線
キロ程 99.8km(豊橋駅より)
乗車人員 17668人/日(2018年)
停車種別 ミュースカイ、快速特急、特急
快速急行、急行、準急、普通
駅構造 2面4線
ホーム有効長 8両編成

名鉄岐阜は、文字通り名鉄の岐阜県内の拠点駅です。

乗車人員は全ての名鉄の駅の中で5番目に多いです。この数字は名鉄各務原線の乗降分も含みます。

駅前の様子です。時勢ゆえに人通りがまばらですが、本来は岐阜県有数の繁華街と言われるほど賑やかです。

名鉄名古屋駅には、名古屋本線だけでなく各務原線も乗り入れてます。しかし、どちらもくし形ホームでかつ線路はつながっていません。

なのでここからは名古屋本線側のみフォーカスして線路設備の解説をしていきます。

その名古屋本線側の線路設備ですが、一番特徴的な点としてはやはりJR東海道本線との交差部にある単線区間でしょう。

名鉄岐阜駅周辺では、列車を同時に発着することが出来ません。そのため、到着する列車が駅手前で発車する列車を待つ光景が頻繁に発生します。

また名鉄岐阜駅はどのホームも長さが8両分です。

名鉄では、名鉄名古屋駅や金山駅等、ホームの長さが8両よりも長い駅がいくつかあります。したがって10両編成による運転は、工事さえすれば、将来的に実現可能です。

この名鉄岐阜駅は、名鉄線のさらなる混雑緩和を実現するためにも、ホームを長くしたい所です。

しかし名古屋本線のホームは上記のように先端部の幅が大変狭いです。駅ホームの10両編成化に当たっては、駅全体の抜本的な改良が必要です。

さらに改札口も北側にしかありません。場所によっては、当駅を利用するために大きな迂回が必要になります。

加納駅

読み方 かのう(KANŌ)
所在地 岐阜県岐阜市
駅番号 NH59
運営事業者 名古屋鉄道
所属路線 名古屋本線
キロ程 98.7km(豊橋駅より)
乗車人員 530人/日(2013年)
停車種別 普通
駅構造 1面2線
ホーム有効長 6両編成

加納駅は名鉄岐阜駅の隣にある駅です。人がたくさん集まる大きな駅の隣にある駅でかつ普通列車しか停車しないため、利用者はとても少ないです。

茶所駅とも駅間が約400mしかなく、その茶所駅も利用者が少ないため、2駅の統合が予定されています。

茶所駅

読み方 ちゃじょ(CHAJO)
所在地 岐阜県岐阜市
駅番号 NH58
運営事業者 名古屋鉄道
所属路線 名古屋本線
キロ程 98.3km(豊橋駅より)
乗車人員 535人/日(2013年)
停車種別 普通
駅構造 2面2線
ホーム有効長 4両編成

茶所駅は加納駅の次の駅で、加納駅と同様普通列車しか停車しません。利用者も非常に少ないため、加納駅との統合が予定されています。

この駅が加納駅と違う点は、駅の名古屋寄りに犬山検査場茶所検車支区と呼ばれる車両基地が立地している点です。この車両基地から名鉄岐阜駅へ回送列車を送り込むため、茶所~名鉄岐阜間は列車本数が岐阜県内の区間の中でも多いです。

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高架化によって鉄道ダイヤはどのように変わる?

茶所駅と加納駅の統合・普通列車の速達化

本事業では加納駅と茶所駅が統合される予定です。統合により各駅停車の停車回数が減り、その分普通列車が速達化します。

統合の背景には以下の2つがあると思います。

・駅統合による集客効率アップ
・建設費の削減

集客効率アップ

統合される加納駅と茶所駅ですが、両駅は非常に近く、駅間距離にするとわずか400mしかありません。これだけ近いと駅ごとの集客範囲、すなわち駅勢圏がかなり重複します。

これを高架化と同時に1つの駅にまとめ、さらにロータリーを整備することで、より効率よく、より広範囲に集客できるようになる予定です。

建設費の削減

こちらが一番の理由になるかと思いますが、2つの駅を統合すれば、建設費の削減につながります。高架化事業の際、駅部が特に費用が掛かる箇所です。

今回対象となる加納駅と茶所駅はどちらも利用者数が500人程度しかいません。両方の駅を高架駅として拵えるのは投資効果は低いと判断されたのだと思います。

名鉄岐阜駅折り返し能力向上

今回の高架化事業区間は、先に説明した通り、名鉄岐阜駅の単線区間も含まれています。これには何らかの改良が加えられるものと考えられます。

その根拠は以下の2つあります。

・名鉄岐阜駅構内で既に立体交差している(都)岐阜駅那珂線を改良する予定だから。
・JR東海道線との交差部において、仮線が現在線よりも東側に設置される予定だから。
・名鉄岐阜駅が本事業の事業区間に含まれているから。

(都)岐阜駅那珂線を改良する予定である。

下の図は国土地理院Webサイト「地理院地図Vector(試験公開)」で公開されている「標準地図」に加筆したものです。クリックして拡大してご覧ください。名鉄岐阜駅構内の直下では、(都)岐阜駅那珂線と交差しています。交差部は名鉄岐阜駅のすぐ南にあります。

上の画像のように、この道路は交差部では非常に道幅が狭いです。自動車1台分の幅しかなく、実際この道路は交差部だけ一方通行になっています。

計画ではこの交差部は改良予定になっていますが、ここの改良には名鉄岐阜駅構内の改良が必要です。したがって(都)岐阜駅那珂線を改良する予定であるということは、名鉄岐阜駅構内も改良されるといえます。

JR東海道線との交差部において、仮線が現在線よりも東側に設置される予定である。

岐阜市から出ている計画概要図をよく見ると、JR東海道線との交差部において、現在線と仮線がずれていることが分かります。現在線にある単線区間の脇に仮線を整備する予定であることが分かります。

上の画像のように、名鉄岐阜駅のホーム上から見ると現在線より左手側に電車を通すことが出来そうな空間があります。仮線はこの空間に通すことが考えられます。

この空間に線路を通すためには、名鉄岐阜駅構内の線路を抜本的に切り替えることが必須です。その際単線区間が解消されると思います。

なお名鉄岐阜駅の改良については、未だ詳細な発表がありません。単線区間の抜本的な解消、さらにできるならホームの延長が行われてほしいところです。

曲線の緩和による速度向上

上記の図は国土地理院Webサイト「地理院地図Vector(試験公開)」で公開されている「標準地図」に加筆したものです。クリックして拡大してご覧ください。

名古屋本線では、岐阜市内に3か所のカーブが存在し、名鉄岐阜駅に最も近いカーブが50㎞/h制限、加納駅と茶所駅の間にあるカーブが55㎞/h制限となっています。

この2か所の曲線の半径が高架化工事と同時に緩和される予定です。これにより安全性の向上、所要時間の短縮が期待されます。

茶所検車区の入出庫線と営業線の立体交差化

高架化により、茶所検車区の入出区線と営業線が立体交差化します。

現状では茶所検車区と営業線は平面で分岐しています。そのため、茶所検車区から下り線へ回送電車を出庫する際、上り線を支障する必要があります。

つまり、茶所検車区から出庫している最中は茶所駅を通過することが出来ません。これはダイヤを設定する上で障害になります。

本事業では、この営業線と茶所検車区の分岐を立体交差化する計画になっています。その根拠は、下の画像にあります。

岐阜市から発表されている計画概要図のイメージ図をよく見ると、入出庫線が2本の営業線の間から分岐・接続しています。入出庫線が2本の営業線と立体交差する予定であることが分かります。

立体交差すれば、回送列車の設定がしやすくなります。車両の交換や増解結用の列車の送り込みがしやすくなることで輸送力の調整がより柔軟にできるようになり、より効率的な営業ができるようになるでしょう。

実際に現地に行ってみた!

実際に現地を取材したときの様子は以下のリンクからご覧ください。

名鉄の岐阜市内高架化!実際に行ってみた!2020年7月6日時点!
本記事は名古屋本線の岐阜市内の高架化工事の現地取材記事です。取材日時は2020年07月06日昼頃です。

まとめ

名鉄名古屋本線岐阜市内の高架化事業は、踏切除却や駅統合という利用者にとって分かりやすい変化があるだけでなく、単線区間の解消や車庫入出庫線の立体交差化等、ダイヤ面での利便性も向上します。

まずは関係各位様より本事業の事業化をしていただくことが必要です。本事業の事業化を心より願っております。

参考文献

wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki

岐阜県岐阜市駅周辺事業推進課
http://E5908DE98984E9AB98E69EB6E38381E383A9E382B7EFBC88E69C80E7B582E6A188EFBC89ver03_160211

名鉄名古屋本線岐阜市内の沿線の様子の動画版(youtube)

名鉄関連のその他の記事

本記事以外にも名鉄関連の記事を掲載しています。是非ご覧ください!!

ダイヤ考察

記事はまだありません。

工事取材

名鉄(工事取材)
名鉄の鉄道線の工事の状況を現地取材した記事のまとめです。

コメント

  1. 起立礼着席 より:

    岐阜駅ホーム延伸で10両化とか全然いらないから本線や犬山線の普通の2両運転をやめて最短4両にしてほしい。特に名古屋-上小田井間はかなり混雑するそうです。
    仮に輸送力を増強したいなら最長編成両数を伸ばして輸送力を確保するのではなく現行短編成で運転している列車を目いっぱいの8両に近づけるほうがよほど有意義でしょう。中央西線みたいに全部8両で運転していて輸送力が足りなくなって本数も増やせないならともなく名鉄の現状に見合ったものではありません。

    • ダイヤを見ながら渡る旅 ダイヤを見ながら渡る旅 より:

      それは完全な間違いです。岐阜駅のホーム10両化は特別停車が頻発する平日朝ラッシュの複雑なダイヤの単純化と、より堅牢で安全性の高いホームドアを設置するためです。
      名鉄線はコロナ前の混雑率が140%を超えており、かつ将来リニアが名古屋に乗り入れるため、混雑対策が必要な線区です。豊橋~名鉄岐阜間だけでも普通車8両+特別車2両の運用が必要でしょう。
      それに伊奈~犬山間の普通列車の混雑は基本昼間の話なので、岐阜駅の10両化対応工事とはまた別の話です。名鉄が4両や6両での運転を怠っているだけなので、岐阜駅の工事と話を絡めるのは不適切です。
      普通列車のみ停車の駅は、名古屋中心部では西枇杷島駅以外全て6両までなので、これを全駅ホーム延長工事して8両対応にする方がお金がかかり過ぎて現実的ではありません。

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