豊橋から名古屋を経由して岐阜に至る名古屋本線の途中駅である西枇杷島駅。この西枇杷島駅では現在、駅の改良工事が行われています。
今回はこの西枇杷島駅の改良工事について、まずは概要を確認していきたいと思います。
西枇杷島駅改良工事概要
西枇杷島駅とは
読み方 | にしびわじま(NISHI BIWAJIMA) |
所在地 | 愛知県清須市 |
駅番号 | NH39 |
運営事業者 | 名古屋鉄道 |
所属路線 | 名古屋本線 |
キロ程 | 71.6km(豊橋駅より) |
乗車人員 | 830人/日(2013年) |
停車種別 | 普通 |
駅構造 | 2面4線→2面2線 |
ホーム有効長 | 4両編成 |
西枇杷島駅は、中京地区の中心駅である名鉄名古屋駅から3駅のところにあります。利用者は1000人未満と非常に利用者が少ないです。
乗車人員が少ない理由としては、基本的に普通列車しか停車せず、しかもその普通列車が日中30分に1本しか停車しないことが挙げられます。
近隣の東枇杷島駅や二ツ杁駅、下小田井駅と比較すると停車本数が少ないため、相対的な利便性が低く、敬遠されやすい状況にあります。
このように何の変哲もなさそうな西枇杷島駅ですが、当駅は以下のような様々な特徴を持っています。
西枇杷島駅は名鉄の運行上重要な駅
名鉄名古屋本線と名鉄犬山線は西枇杷島駅の構内で分岐しています。この分岐点は枇杷島分岐点と呼ばれています。
枇杷島分岐点から名古屋寄りは全国一の列車過密区間となります。枇杷島分岐点は2つの主要路線が平面で分岐するため、名鉄の列車運行上最大のネックとなっています。
この枇杷島分岐点の管理をしているのは当駅になります。
ホーム有効長が名鉄の中心駅に近い駅とは思えない位短い・狭い
工事前当駅のホームは横幅が大変狭く、ホーム上には駅名標しかありませんでした。もちろん屋根を設置する余裕など全くありませんでした。
その狭さ故、西枇杷島駅に停車する普通列車が到着するまで、駅のホームに入場することはできず、係員の誘導に従ってホームに上がる必要がありました。また上記の通り、西枇杷島駅は駅ホームの有効長が4両編成分しかありませんでした。
しかし、西枇杷島駅は中京地区の中心駅である名古屋駅から3駅のところにあるので、停車列車は4両編成だけでなく6両編成も停車します。6両編成が到着する際は後ろ2両を扉を閉め切る必要があります。
このような状況なので、是非ホームを拡張したい所です。しかし、当駅はJR東海道線と県道67号線、さらに当駅自身が持つ待避線に挟まれているため、現状では拡張することはできません。
当駅ホームを改良するには、何かしらの設備を犠牲にすることが必要です。
名鉄名古屋駅に最も近い退避可能駅だった
後述の改良工事で既に廃止されましたが、西枇杷島駅には普通列車が優等列車の追い越し待ちをする待避線が上り下り共にありました。
この退避設備は、ダイヤ構成上でも非常に重宝されていたと考えられます。なぜなら、名鉄名古屋駅周辺は待避設備が少なく、かつ西枇杷島駅は名鉄名古屋駅から名鉄岐阜駅方面へ進んだときの最初の退避可能駅だからです。
退避設備のない区間が長くなると、その分優等列車が普通列車の後ろを徐行運転する時間が長くなってしまい、速達性が失われることになります。西枇杷島駅の構内の改良よりも優等列車の速達性を優先させるため、今まで西枇杷島駅の待避線が残されていました。
とはいえ、西枇杷島駅の待避線・ホームの長さが4両分しかなく、それよりも長い編成を退避させることが出来ませんでした。
そのため1987年に西枇杷島駅から1駅、名鉄岐阜方にある二ツ杁駅にも待避線が設置されました。二ツ杁駅は最大8両編成まで退避させることが出来ます。
西枇杷島駅改良工事
工事の目的
本工事の目的は「ホーム拡張や本線を跨ぐ構内踏切の廃止による駅コンコースの安全性向上」です。
本目的を達成するため、西枇杷島駅の待避線は廃止・撤去されました。なお西枇杷島駅で優等列車の退避をする列車は、本工事開始前の2019年3月のダイヤ改正ですべて二ツ杁駅での退避に変更されました。
ダイヤか改正後、使用しなくなった待避線を撤去して空いた土地でホームを拡張します。
本工事の完了後はホームが十分広くなり、また営業線を跨ぐ構内踏切も廃止されるため、駅ホームにいつでも入場できるようになります。これにより当駅の誘導係員の配置も廃止され、人員削減もなされると考えられます。
工事内容
工事の内容は以下の通りです。
なお工事によって駅が改良されるものの、以下の3点において注意する必要があります。
工事完了後もホームの有効長は4両分のままだが・・・
工事後、ホームの有効長は6両まで伸びません。もしホームが延長されるのであれば、名鉄のプレスやニュースにその旨が記述されるはずです。
しかし2021年頃より、ホームが6両分に延長される可能性が出て来ました。西枇杷島駅の近傍にある東枇杷島4号踏切が廃止される可能性が出てきたのです。
東枇杷島4号踏切の直上には県道67号線があります。この県道67号線は名古屋市内では片側3車線となっていますが、庄内川に跨る枇杷島橋、そしてそれより北の清須市内からは一気に片側1車線に減少します。
そのため、清須市内は車の流動が悪くなっています。問題の解決には県道67号線の拡張が必要です。
2021年には県道67号線沿いにあった住宅の立ち退き粗方完了していました。名鉄名古屋本線をオーバーパスする県道67号線の道路橋も含めて道路の車線数を増やすことが出来るようになりました。
さらに歩道もオーバーパスするように整備すれば、東枇杷島4号踏切を廃止することが出来ます。踏切を廃止すればホームを延長できるようになるでしょう。
また現地を確認する限りで、西枇杷島駅の豊橋方面第一出発信号機の移設もされていました。これで閉塞内に6両分を収めることが出来るようになると思います。
車庫線をまたぐ構内踏切が整備される。
また駅舎・コンコースが上りと下りで独立になることで、営業線を跨ぐ構内踏切が廃止されますが、上りホームでは車庫線を跨ぐ構内踏切が新たに発生しました。
しかし、西枇杷島駅横の車庫線を通る列車は非常に少ないので、踏切で待たされることはほぼ無くなります。
西枇杷島駅の工事によるダイヤへの影響は?
改良工事に着手する前に待避線を使用停止にするため、2019年に待避線を使わないダイヤに変更されました。その後2年かけて改良工事が行われ、無事工事が完了しました。
しかし逆に言えば、枇杷島分岐点~名鉄名古屋間の複々線化は実現までまだまだ時間を要すると言えるでしょう。なぜなら、もし早期に複々線化工事に着手するつもりであれば、工事区間に含まれるであろう西枇杷島駅の改良工事などしないはずだからです。
当方の予想では、名鉄名古屋本線が複々線化する際は、名鉄名古屋駅のすぐ北方で立体交差で分岐すると思います。そして上の画像の通り、名駅通の真下を通りつつ新栄生駅として地下駅を設け、地下線のまま二ツ杁駅に到達すると予想します。
なぜこのように予想するのかというと、枇杷島分岐点の近傍で立体交差することが難しいと考えられるからです。枇杷島分岐点付近は名古屋方には庄内川、岐阜方には県道67号線、東海道本線、東海道新幹線があり、高架で乗り越えていく際は、その分費用が掛かるでしょう。
西枇杷島~新川橋間は線路が東西に敷かれているので、日照権に対する補償も必要かと思います。そうなると地下線で建設するのと費用はさほど変わらないでしょう。
上の画像の通り新線が建設されれば、地下線は西枇杷島駅を経由しません。複々線化と同時に西枇杷島駅の現設備は廃止になるでしょう。
複々線化時に不要になる設備を改良するのは二重投資なります。したがって、今回西枇杷島駅が改良されたということは、枇杷島分岐点での問題の解決もかなり先のことになったと言えそうです。
ちなみに余談になりますが、西枇杷島駅は複々線化後は犬山線に編入されると思います。犬山線に西枇杷島駅を設置するとともに通過線を設けて2面4線とすれば、犬山線で名古屋~西春間に待避線がない問題も解消されるでしょう。
枇杷島分岐点のデルタ線にある空き地を用いれば、駅前広場の整備も容易だと思います。
実際に行ってきた!
実際に現地を取材したときの様子は以下のリンクからご覧ください。
まとめ
本事業により西枇杷島駅はホーム上で待てる駅となります。西枇杷島駅がより使いやすい駅となりますので、完成を楽しみに待ちたいと思います。
参考文献
wikipedia(西枇杷島駅)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A5%BF%E6%9E%87%E6%9D%B7%E5%B3%B6%E9%A7%85
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