JR中央本線(大月~塩尻)・JR篠ノ井線・JR信越本線(篠ノ井~長野)・JR大糸線(松本~南小谷)の夜間留置まとめ!2024年1月時点のデータをまとめましたので、これを基に考察をしていきたいと思います!
JR中央本線の大月以西は、東京からのオレンジの帯を纏った普通列車は原則入線しなくなり、主に長野車両センター所属の211系が普通列車として運用されます。大月以西では各駅ホームの長さも最大6両分となり、かつ列車の運転本数も減少します。
一方特急列車は、最大12両の特急あずさや特急かいじが甲府や松本、果ては南小谷まで直通します。特急富士回遊は大月以西には乗り入れず、富士急行線に直通します。
他に、中央本線の特徴的な部分として茅野~岡本~辰野~塩尻間の単線区間があります。岡本~辰野~塩尻間は、塩嶺トンネルの完成により普通列車のみの運行となったため単線でも問題ありませんが、茅野~岡本間は特急あずさが運行する区間なので、ここがダイヤのネックになっています。
次にJR篠ノ井線は、長野県の塩尻から篠ノ井までを結ぶ鉄道路線です。中央本線は塩尻を境に以東はJR東日本が、以西はJR東海が管理していますが、JR篠ノ井線はその両方のほぼ全ての列車と相互直通運転しています。
そのため、篠ノ井~松本間は非常に列車本数が多く、同区間は複線となっています。逆に松本~篠ノ井間は列車本数が減少することから、ほぼ単線です。
篠ノ井線には普通列車や貨物列車の他にも、中央東線からは特急あずさが乗り入れ、中央西線は特急しなのが乗り入れます。
特急あずさは東京と松本を主に結ぶ特急列車であり、逆に東京と長野は新幹線が結んでいるため、大半が途中の松本止まりとなっています。一方、特急しなのは名古屋と長野を主に結んでおり、並行する路線が存在しないため、ほぼ全ての列車が松本以北に乗り入れます。
JR信越本線は一部区間で北陸新幹線と並行していますが、長野県内の設備上の都合により、篠ノ井~長野間のみJR東日本が管理しています。その他の区間については、並行在来線としてJR東日本から切り離され、しなの鉄道が管理しています。
JR大糸線は長野県の松本から新潟県の糸魚川までを結ぶ路線です。途中の南小谷を境に管轄会社が異なり、以南の長野県内をJR東日本、以北の主に新潟県の区間をJR西日本が管理しています。
北アルプスの東側を通る路線で、雄大な山々が車窓から見えます。沿線には仁科三湖や白馬岳などの観光地をもち、これらのアクセスとして特急あずさが一日一往復定期で南小谷まで、特急しなのが臨時で白馬まで乗り入れます。
本記事では、大糸線のJR東日本管轄区間である松本~南小谷間のみ記載し、JR西日本管轄区間である南小谷~糸魚川間については割愛しますので、ご了承ください。
運行系統ごとの夜間留置状況
本記事では松本車両センターと長野車両センターに所属する電車を取り上げます。
松本(2023年)
松本5+1本、信濃大町4本、南小谷1本、長野1本
幕張1本、新宿1本、三鷹3本、松本1+5本
幕張1本、新宿1本、三鷹3本、甲府4本、拝島1本、松本7+3本
松本に対する所感
松本車両センターには、中央本線の主力列車であるE353系特急列車が管理されており、その他2両編成の普通車であるE127系も管理されています。まず、普通車のE127系は篠ノ井線と大糸線に乗り入れ、また一部は中央本線の中で最も利用者の少ない辰野支線にも乗り入れます。
逆に中央西線の塩尻~中津川間には入線しません。松本の2両が入線できると運用の合理化が出来るのですが、残念ながらほぼ全運用がJR東海所有の神領313系2両が担当しています。
運用状況は12本・11運用・予備1本となっており、JR東日本基準で考えれば至って標準的な稼働状況といえそうです。ただ2024年3月のダイヤ改正では、この運用に変化が生じるかもしれません。
2024年のダイヤ改正では、211系6両で運転される塩尻始発長野行きの臨時快速が廃止となります。この廃止によって、余剰となった211系6両が211系3両2本を置き換え、さらに余剰となった211系3両がE127系を置き換えれば、E127系に余剰車が発生するのではないしょうか。
余剰となったE127系は1本が中原に転属することで、残り1本となった205系を置き換えることができます。これで南武支線の車両はE127系2両に統一され、側面のドアの数・位置が統一されて案内がしやすくなると考えられます。
E353系の方は下記記事で所感をまとめていますので、そちらをご覧ください。
長野(2023年)
長野4+1本、戸狩野沢温泉2本、森宮野原2本、十日町1本
長野2本
長野2本、十日町1本
長野+1本
大月3本、塩山1本、甲府8本、小淵沢2本、上諏訪6本、辰野1本、飯田1本、松本7本、長野1+3本、信濃大町3本
豊田3本、高尾1本、大月1本、甲府1本、小淵沢2本、松本3本、長野2+1本
長野に対する所感
長野車両センターには、飯山線向けの気動車と長野から信越本線・篠ノ井線を介して中央本線の立川まで運転される211系電車が在籍しています。3両については大糸線や飯田線にも乗り入れることから、211系の運行範囲は非常に広いです。
飯山線については豪雪地帯を走行することから、長野に多めに夜間留置しつつ、その他の留置場所は戸狩野沢温泉・森宮野原・十日町の3か所のみとなっています。運用状況については、JR東日本らしい予備両数と言えるでしょう。
本題の電車の方については、3両が36本・33運用・予備3本となっており、6両が14本・13運用・予備1本となっています。状況によっては3両を2本連結して6両の運用に就くことがあることを考えると、予備両数に特に特異な点はなさそうです。
先述の通り、211系の運用については2024年3月のダイヤ改正で変化があると考えられます。ダイヤ改正を機に車両が廃車になる可能性もあるので、動向に要注目です。
ちなみに長野の211系については3両で運用されているため、首都圏で活躍していた車両が転属して代替するということはできません。また3両はホーム有効長が3両分しかない飯田線に乗り入れるため、飯田線との相互直通運転を廃止しない限り、4両固定編成に置換することも不可能です。
個人的には、飯田線の3両運用を2両に置換できない限り、JR東日本所有の3両は飯田線に乗り入れ続けるべきと考えます。JR東海側は飯田線の朝ラッシュ対策としてわざわざ313系1700代を大垣から送り込んでいるほどなので、車両運用合理化のためにもJR東日本側が積極的に3両を飯田線に送り込むべきでしょう。
逆に中央本線の大月以東への乗り入れは不要です。大月に訪れるインバウンド需要の大きさを考えると、211系6両では輸送力不足です。
駅ごとの夜間留置状況
本記事ではJR中央本線(大月~塩尻)・JR篠ノ井線・JR大糸線の留置状況を記載します。
中央本線(大月~塩尻)
大月(合計留置両数:3両3本+6両2本+10両1本=31両)
長野211系3両3本
長野211系6両1本
豊田209系10両・E233系T10両1本
豊田E233系H6両1本
初狩
夜間留置設定なし
甲斐大和
夜間留置設定なし
塩山
長野211系3両1本
山梨市
夜間留置設定なし
酒折
夜間留置設定なし
甲府(合計留置両数:2両1本+3両8本+6両1本+9両4本=68両)
長野211系3両8本
長野211系6両1本
静岡313系V2両1本
松本E353系9両4本
側線:365m18両1本
中線:365m18両1本
225m11両2本
245m12両2本
265m13両3本
入出庫待機線125m6両2本
竜王
夜間留置設定なし
韮崎
夜間留置設定なし
引き上げ線:105m5両1本
日野春
夜間留置設定なし
小淵沢(合計留置両数:2両1本+3両2本+6両2本=20両)
長野211系3両2本
長野211系6両2本
小海線キハ110系2両1本
富士見
夜間留置設定なし
青柳
夜間留置設定なし
茅野
夜間留置設定なし
上諏訪(合計留置両数:2両1本+3両6本=20両)
長野211系3両6本
大垣213系2両1本
245m12両1本
285m14両2本
入替線125m6両1本
下諏訪
夜間留置設定なし
岡谷
夜間留置設定なし
辰野
長野211系3両1本
引き上げ線:85m4両1本(途中に踏切があり、夜間留置出来ない)
205m10両1本
225m11両1本
245m12両2本
その他非電化線が何本かある。
塩尻
夜間留置設定なし
165m8両1本
205m10両2本
365m18両2本
385m19両2本
入替線145m7両1本
中央本線(大月~塩尻)に対する所感
中央線の大月以西は雪が多く降る地域だからか、基本的に主要駅にしか夜間留置はありません。しかし大月周辺の車庫容量がMAXの状態のため、塩山に車庫外留置が存在します。
おそらく保守都合によって、日によって甲斐大和や山梨市に夜間留置場所を変更するでしょう。これを見るとなおのこと初狩に留置線を整備する必要があると思うのですが、いかがでしょうか。
甲府以西はある程度余裕があります。とはいえ小淵沢など不自然な配線をしている駅があるので、今後スリム化のために一部の線路設備を撤去することがあると思います。2024年3月のダイヤ改正後、中央本線にもメスが入るのではないでしょうか。
篠ノ井線・信越本線(篠ノ井~長野)
塩尻
夜間留置設定なし
165m8両1本
205m10両2本
365m18両2本
385m19両2本
入替線145m7両1本
南松本
夜間留置設定なし
篠ノ井側引き上げ線:205m10両1本
下り側線:45m2両1本、65m3両1本、225m11両1本、385m19両1本
上り側線:205m10両2本、285m14両1本、305m15両2本、325m16両1本、365m18両1本、425m21両2本
その他上り側に貨物用の非電化線があるが、これは割愛。
松本(合計留置両数:2両6~7本+3両13本+6両3本+9両10本=159両)
松本E127系2両5~6+1本
長野211系3両7本
長野211系6両3本
松本E353系9両7+3本
松本E353系3両1+5本
引き上げ線:125m6両1本
65m3両1本
105m5両1本
245m12両4本
105m5両2本
125m6両5本
145m7両1本
185m9両2本
205m10両1本
245m12両1本
265m13両1本
305m15両1本
345m17両2本
検査線105m5両1本(建屋は45m2両分)
検査線145m7両1本(建屋は45m2両分)
検査線245m12両2本(建屋は185m9両分)
洗浄線185m9両2本
田沢
夜間留置設定なし
明科
夜間留置設定なし
西条
夜間留置設定なし
坂北
夜間留置設定なし
聖高原
夜間留置設定なし
姨捨
夜間留置設定なし
桑ノ原信号場
夜間留置設定なし
篠ノ井側引き上げ線:385m19両1本
篠ノ井
夜間留置設定なし
引き上げ線:385m19両1本
川中島
夜間留置設定なし
長野(合計留置両数:1両7本+2両8本+3両5本+6両7本=80両)
松本E127系2両1本
長野211系3両1+3本
長野211系6両2+1本
長野キハ110形200代1両4+1本
長野キハ110形おいこっと1両2本
長野キハ111形2両2本
長野HB-E300系2両+1本
神領383系6両4本
しなの鉄道115系3両1本
しなの鉄道SR1系300番台2両4本
篠ノ井側入出庫待機線:285m14両1本
北長野側引き上げ線:165m8両
側線:285m14両1本
65m3両2本
85m4両1本
185m9両2本
205m10両1本
245m12両2本
265m13両4本
285m14両5本
305m15両2本
325m16両3本
345m17両1本
365m18両1本
425m21両1本
検査線165m8両1本(建屋は85m4両分)
検査線205m10両1本
検査線205m10両1本(建屋は85m4両分)
検査線265m13両2本
入出庫待機線225m12両1本
入出庫待機線245m12両2本
入出庫待機線285m14両2本
入出庫待機線405m20両1本
転削線480m24両1本
その他、非電化線を含め工場部分の詳細は割愛。
篠ノ井線・信越本線(篠ノ井~長野)に対する所感
篠ノ井線は夜間留置が松本しかありません。主要駅の一つである塩尻にも夜間留置設定がなく、松本の車庫の容量の大きさが伺える夜間留置状況と言えます。
信越本線も長野にしか夜間留置設定がありません。というより信越本線がかつて特急列車街道だったこともあって、長野車両センターの車庫容量がとても大きいです。
車両の所属も松本・長野・神領・戸倉と多彩です。長野車両センターでは車両の改造や廃車作業も行っているので、これで車両の博覧会でも出来るのではないでしょうか。
大糸線(松本~南小谷)
松本(合計留置両数:2両6本+3両13本+6両3本+9両10本=159両)
松本E127系2両5+1本
長野211系3両7本
長野211系6両3本
松本E353系9両7+3本
松本E353系3両2+4本
引き上げ線:125m6両1本
65m3両1本
105m5両1本
245m12両4本
105m5両2本
125m6両5本
145m7両1本
185m9両2本
205m10両1本
245m12両1本
265m13両1本
305m15両1本
345m17両2本
検査線105m5両1本(建屋は45m2両分)
検査線145m7両1本(建屋は45m2両分)
検査線245m12両2本(建屋は185m9両分)
洗浄線185m9両2本
島内
夜間留置設定なし
一日市場
夜間留置設定なし
穂高
夜間留置設定なし
有明
夜間留置設定なし
安曇追分
夜間留置設定なし
信濃松川
夜間留置設定なし
信濃常盤
夜間留置設定なし
信濃大町
松本E127系2両4本
長野211系3両3本
側線:145m7両1本、165m8両1本
引き上げ線:85m4両1本
白馬
夜間留置設定なし
南小谷
松本E127系2両0~1本
大糸線(松本~南小谷)に対する所感
大糸線も豪雪地帯にある路線のため、夜間留置は松本を除くと、車庫がある信濃大町と会社境界駅である南小谷のみです。朝ラッシュの通勤・通学需要は松本に向かう方向のため、信濃大町に多数夜間留置設定が設定されています。
ちなみに大糸線は、先述の特急列車が走行するためか、1線スルー構造の駅が多く存在します。そのため小駅ではあるものの、信号設備的に夜間留置が可能な駅として本記事に掲載しています。
また大糸線も他の路線と同様に設備の撤去が進んでいます。豊科では側線の使用が停止され架線が撤去されており、信濃森上では北側の発着線を使用停止にして1面1線の棒線駅となりました。
まとめ
ということでJR中央本線(大月~塩尻)・JR篠ノ井線・JR信越本線(篠ノ井~長野)・JR大糸線(松本~南小谷)の夜間留置状況でした。
やはり雪が多いエリアでは、夜間留置設定をなるべく主要駅にまとめる傾向がありますね。もちろん貨物列車が走行している影響もあるでしょうけど。
しかし、そう考えると車庫外留置が存在する塩山の211系3両1本が異質に見えますね。現在中央本線では東京~八王子間でグリーン車2両増結・ホーム延長が行われていますが、大月付近にも設備投資が必要ではないでしょうか。
なんにせよ今後に注目ですね。
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