JR西日本が管轄する学研都市線・東西線・福知山線の夜間留置まとめ!おおさか東線大阪延伸後の2023年のデータをまとめましたので、これを基に考察をしていきたいと思います!
関西本線は愛知県名古屋市の名古屋駅から、三重県亀山市の亀山駅、奈良県奈良市の奈良駅を経由して大阪府大阪市浪速区のJR難波駅までを結ぶ鉄道路線です。中部圏と関西圏を結ぶ鉄道路線ではありますが、東海道線と比べると通しで乗りとおす人は少なく、各地区で地域性が色濃く存在します。
本記事ではJR西日本が管轄する亀山~奈良~JR難波間について取り上げます。この区間は亀山~加茂間は非電化で利用者も少ないですが、加茂~JR難波間は電化されており、利用者も多く、その多さ故にJR大和路線という愛称が付けられています。
JR奈良線は京都府京都市の京都駅から、城陽市の城陽駅を経由して、木津川市の木津駅までを結ぶ鉄道路線です。路線名に「奈良」というワードが入っていますが、全線が京都府内に存在します。
運行系統としては、路線名の通り、木津から先の奈良駅まで列車が直通します。近鉄京都線と競合しており、利用者も多いことから路線の複線化が段階的に行われました。
JRおおさか東線は大阪府大阪市淀川区の新大阪駅からJR淡路駅、放出駅、高井田中央駅を経由して久宝寺駅まで至る鉄道路線です。全ての旅客列車が新大阪駅から梅田貨物線に乗り入れ、大阪駅まで運転されます。
工事前単線だった城東貨物線を複線化した上で旅客化した路線であり、この路線の開業によって、大和路線や大阪環状線、学研都市線の混雑が緩和されました。2023年に全区間が開業した新しい路線ですが、既に利用客が定着し、関西圏の重要な路線の一つとなっています。
運行系統ごとの運用状況
本記事では亀山派出所所属、奈良所属を中心に記載します。
亀山(2023年)
亀山4+4本、柘植1本、伊賀上野3本、加茂2本
所感
亀山派出所は京都支所の傘下にあり、関西本線の非電化区間である亀山~加茂間の営業運行を担当しています。また車輪転削のため、奈良支所まで回送される場合があります。
夜間留置の設定は順当に主要駅のみとなっていますが、伊賀上野と加茂で車庫外留置があります。加茂に関しては営業区間の端点なので夜間留置設定は妥当ですが、伊賀上野にも夜間留置設定があるのは、加茂方面への需要の大きさの現れですね。
またこの区間は需要が著しく低く赤字額も大きいことから、路線の存廃議論が為されています。その救済策として名古屋~奈良間を走行する急行かすがの復活が検討されているそうです。
もちろん車両運用を考えれば、臨時列車限定のスポット的な運行しかできないでしょう。しかし、議論して赤字路線に関心を寄せるだけでも路線廃線を避けるためには十分な効果を発揮しますので、今後も議論を続けるべきです。
ちなみに個人的には同区間の将来はリニア中央新幹線が鍵を握っていると思います。リニア中央新幹線は三重県と奈良県を通る予定となっていますが、これが関西本線に接続する形で駅が設置されると、赤字が軽減されるでしょう。
リニアの駅に接続させる形で直通列車を設定する、例えば草津線や伊賀鉄道から亀山への直通列車が設定できるように電化や複線化すれば、赤字額が減少するでしょう。他方、奈良側でも佐保信号場付近にリニアの駅が設置されれば、加茂を越えてリニア駅まで直通運転することで利便性は向上します。
奈良側のリニア駅は大和郡山市も候補にありますが、JR西日本にとっては関西本線・奈良線・桜井線・学研都市線のどの方向からも乗り入れのしやすい佐保信号場付近が一番都合が良いです。近鉄線については、けいはんな線が高の原を介してリニア駅まで延伸すれば良いでしょう。
奈良(2023年)
佐保1+1本、王寺5本、JR難波1本
京都3本、佐保2+2本、奈良1本、天理1本
加茂2本、佐保14+5本、王寺4本、森ノ宮2本、天理5本、五条3本
京都1本、佐保3+3本、奈良2本、王寺7本、JR難波1本、天理2本、放出3本、大阪1本
加茂2本、佐保2+1本、王寺1本、JR難波1本、天理1本
所感
奈良支所所属の列車は走行線区が比較的高い性能を要求されないためか、旧型の車両が様々な変遷を経て集結する傾向にあります。2023年現在は5種類の運行系統が存在します。
このうち201系6両については、網干221系の玉突き転属によって少しずつ廃車が進んでいます。製造から40年しか経っていない201系が113系や115系より先に廃車になっている理由は、「チョッパ車は部品調達が難しくなっているから」「ドア数が3ドアではないため天王寺や新今宮へのホームドア設置に支障が出るから」という説が有力です。
205系も同じ3ドアではなない車両に属しますが、こちらはほぼ奈良線しか走行しないため廃車対象から免れています。205系4両が昨今のインバウンド需要に対応しきれていない部分はありますが、廃車の対象になるかどうかは網干にAシート付き225系が導入されるかどうかにかかっているでしょう。
そして最後に221系ですが、こちらはコロナの影響もあるのか、予備が多い状況になっています。とはいえ、線路設備が増強されて利用者が増える期待値の高い奈良線とおおさか東線を抱える支所なので、この多めの予備が列車増発に消費される可能性は十分あるでしょう。
駅ごとの夜間留置状況
本記事では関西本線・奈良線・おおさか東線について紹介します。
関西本線
亀山(車庫収容力:電化留置線46両+非電化留置線36両+非電化検査線6両、合計留置両数:1両8本+2両11本+4両3本=42両)
名古屋キハ25形2両2本
亀山キハ120系1両4+4本
神領313系2両9本
神領313系4両・315系4両3本
引き上げ線:電化165m8両1本、電化505m25両1本
非電化85m4両3本
非電化105m5両2本
検査線45m2両3本
入替線非電化205m10両1本
その他多数留置線あり
柘植(車庫収容力:39両、合計留置両数:1両1本+4両1本+6両1本+8両1本=19両)
亀山キハ120系1両1本
京都221系4両・223系4両1本
京都221系6両・223系6両1本
網干223系8両・225系8両1本
引き上げ線:185m9両1本
伊賀上野(合計留置両数:1両3本=3両)
亀山キハ120系1両3本
笠置
夜間留置設定なし
加茂(車庫収容力:19両、合計留置両数:1両2本+4両2本+8両2本=32両)
亀山キハ120系1両2本
奈良221系4両2本
奈良221系8両2本
木津(合計留置両数:7両0~1本=0~7両)
明石207系7両・321系7両0~1本
佐保信号場(車庫収容力:留置線261両+検査線19両+洗浄線5両+転削線9両、合計留置両数:4両23本+6両8本+7両2~3本+8両3本=178~185両)
奈良201系6両1+1本
奈良205系4両2+2本
明石207系7両・321系7両2~3本
奈良221系4両14+5本
奈良221系6両3+3本
奈良221系8両2+1本
65m3両1本
85m4両1本
125m6両15本
165m8両15本
225m11両4本
洗浄線105m5両1本
検査線185m9両1本
検査線205m10両1本(建屋は65m)
転削線185m9両1本
奈良(車庫収容力:23両、合計留置両数:2両1本+4両1本+6両2本=18両)
奈良205系4両1本
奈良221系6両2本
新在家227系2両1本
難波側引き上げ線:225m11両1本
王寺(車庫収容力:161両、合計留置両数:2両3本+4両4本+6両12本+8両1本=102両)
奈良201系6両5本
奈良221系4両4本
奈良221系6両7本
奈良221系8両1本
新在家227系2両3本
引き上げ線:185m9両1本、105m5両+185m9両1本(途中に踏切がある)
85m4両2本
125m6両6本
145m7両1本
165m8両1本
185m9両1本
265m13両1本
285m14両2本
345m17両1本
柏原
夜間留置設定なし
久宝寺
夜間留置設定なし
平野
夜間留置設定なし
天王寺(車庫収容力:28両以上、合計留置両数:4両3本+8両3本=36両)
日根野223系4両・225系4両3本
森ノ宮323系8両3本
阪和線引き上げ線:165m8両1本
大阪環状線引き上げ線:185m9両2本
新今宮
夜間留置設定なし
JR難波(合計留置両数:6両2本+8両1本=20両)
奈良201系6両1本
奈良221系6両1本
奈良221系8両1本
所感
非電化区間の所感については、亀山派出所の運用の所感で語ったので、ここでは電化区間の大和路線の所感を語ります。
大和路線の夜間留置状況を見ていくと、車庫外留置が何ヵ所もあるのが分かります。具体的には加茂・奈良・王寺・JR難波の4か所に設定があります。
奈良地区は車庫の容量がほぼ満杯の状態となっており、これ以上編成数を増やすためには営業線上への留置を増やすのが必須の状況になりつつあります。奈良線やおおさか東線が今後伸長していくことを踏まえると、車両側としては編成を長くする・両数を増やすのが最適解と考えます。
例えば、205系4両の置き換えは京都の221系6両で行うとか、おおさか東線の車両を6両から8両に増やすといった塩梅ですね。編成を伸ばすのであれば、まだ車庫容量はあると思います。
将来的には王寺での増解結も止めて6両固定運用と8両固定運用の2種類まで絞るべきでしょう。これによって、最近お試し感覚で始まった座席指定サービスを本格的に全列車へ展開しやすくなると思います。
大和路線のコロナ前の混雑率は快速が94%・普通が106%です。したがって座席指定サービスを展開できる混雑率ですし、それに適した運行体系に変わっていくと個人的に予想します。
最終的には大和路線は上下ともに王寺駅で8両快速と6両普通が接続し、8両快速は奈良・加茂へ、6両普通は高田・五条に直通するという体系へダイヤ改正すべきでしょう。王寺駅も2面4線で対面接続できる配線に変更すべきだと思います。
奈良線
京都(車庫収容力:71両、合計留置両数:4両6本+6両2本+7両5本+8両1本=79両)
奈良205系4両3本
奈良221系6両1本
京都221系4両・223系4両2本
京都221系6両・223系6両1本
網干223系4両・225系4両1本
網干223系8両・225系8両1本
明石207系7両・321系7両5本
東海道線引き上げ線:345m17両1本
奈良線引き上げ線:125m6両1本、145m7両1本、205m10両1本
宇治
夜間留置設定なし
城陽
夜間留置設定なし
棚倉
夜間留置設定なし
上狛
夜間留置設定なし
木津(合計留置両数:7両0~1本=0~7両)
明石207系7両・321系7両0~1本
所感
JR奈良線は2023年ダイヤ改正まで、複線化工事が実施されていました。設備改良工事に当たっては、営業線上に夜間留置する列車が存在すると工事が出来ないので、その流れで奈良線の途中駅には一切夜間留置が設定されていません。
そのため宇治や城陽に夜間留置を追加設定する余地があります。今後奈良線の利用者が増えることがあれば、夜間留置の追加設定や編成両数増加によって対応出来るでしょう。
奈良線はインバウンド需要も大きいですし、京都口では混雑も激しいですから、全列車221系6両にして良いと個人的には考えます。4ドア4両の205系はホーム上の案内において3ドアの221系とは別個に用意しないといけませんし、輸送力がそもそも小さいため、新製から40年ほどで淘汰されるのではないかと予想します。
おおさか東線
久宝寺
夜間留置設定なし
放出(車庫収容力:留置線170両+検査線16両、合計留置両数:6両3本+7両13本=109両)
明石207系7両・321系7両13本
奈良221系6両3本
165m8両19本
入替線185m9両2本
検査線125m6両1本(建屋は65m3両分)
検査線205m10両1本(建屋は150m7両分)
新大阪
夜間留置設定なし
大阪(車庫収容力:留置線61両、合計留置両数:6両1本+7両2本+8両2本=36両)
明石207系7両・321系7両2本
奈良221系6両1本
森ノ宮323系8両2本
大阪環状線引き上げ線:205m10両2本
所感
おおさか東線では沿線の夜間留置が大阪と放出の2箇所のみとなっています。当然大阪と放出に夜間留置する分だけでは当線の運用を賄うことが出来ないので、一部編成は奈良や王寺から回送や直通快速という形で送り込んでいます。
今後おおさか東線では、路線の延長によって利便性が向上し利用者が増えると予想されます。それと同時に将来はなにわ筋が開業して、当路線を介して阪和線と相互直通運転するようになります。
これらを踏まえると、おおさか東線で使用される車両は、将来日根野車8両に統一されると考えます。同時に、阪和線の朝ラッシュで適用されている12分サイクルのダイヤがおおさか東線にも適用されていくだろうと予想します。
まとめ
ということで以上、奈良支所の夜間留置まとめでした。京阪神区間と異なり、設備改良によって利用者が増え、車庫容量も逼迫するようなエリアですから、JR西日本にとっても有望な路線なのは間違いありません。
JR西日本の積極的戦略が功を奏すことを心から願っています。
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