2023年3月、東急新横浜線開業後の東急東横線・東急目黒線・東急新横浜線内の夜間留置まとめ。
東急東横線・東急目黒線・東急新横浜線は全て東急電鉄が所有する鉄道路線で、かつ車両を元住吉検車区で管理しています。東横線は東急の基幹路線の一つですが、戦後利用者が急増し混雑が激しくなったことから、様々な混雑緩和策が実施されてきました。
東横線では元々田園調布・多摩川で目蒲線と接続していましたが、これを多摩川で分割し目黒側の路線を東横線直通に切り替えています。加えて多摩川~日吉間で東横線を複々線に拡張工事を行うことで、目黒線という東横線のフィーダー路線が誕生しました。
さらに日吉からは新横浜を経由しつつ相鉄線と相互直通運転するため、新横浜線が令和の時代に建設され、東横線・目黒線共に相鉄線と相互直通運転をしています。そのため、元々元住吉検車区は東横線に隣接する車両基地でしたが、紆余曲折を経て目黒線と新横浜線を走行する車両も管理するようになりました。
運行系統ごとの運用状況
石神井公園1本、和光市2本、渋谷1本、自由が丘2本、元住吉16+3本、菊名3本、横浜1本、元町中華街2本
武蔵丘1本、元住吉6+2本、和光市1本、森林公園2本、西谷1本、かしわ台2本
浦和美園1本、市ヶ谷1本、麻布十番1本、高島平3本、目黒1本、武蔵小山2本、奥沢4本、武蔵小杉2本、元住吉4+2本、日吉2本、新横浜1本、星川1本、相模大塚1本
所感
東急線は東横線が8両と10両、目黒線が6両と8両の運行になっています。目黒線については、東急新横浜線開業に合わせる形で東急所有の車両を全列車8両編成化させています。
従って元住吉所属の列車の運行系統は3種類となっています。予備車は東横線と目黒線はどの系統も2~3本確保しており、多すぎず少なすぎず適正数といえるかと思います。
目黒線については、車両面での今後の輸送改善は東京メトロ側・都営側に任されるといえるでしょう。一方で東横線は、全列車10両編成化できず、新横浜線開業後も各駅停車は8両編成の状態を強いられています。
東横線の各駅停車が8両編成となっているのは、各駅のホームが8両分しかなく、新高島などホームの延長が難しい駅があるというのもありますが、それ以上に元住吉にある車庫容量が足りないという深刻な問題があるからです。
東急では新横浜線開業によって増加した列車の留置場所を相鉄側に求めています。相鉄側には他社線内に夜間留置はない一方、東急側は他社線内に何本か自社の車両を留置しています。
相鉄線内に東急車が夜間留置している状況は以下の通り。
このような状況なので是非車庫の増設をしたい所ですが、東横線も目黒線も沿線は既に全区間市街化されており、まとまった土地を確保するには大規模な立ち退きが必要です。
個人的に車庫新設の候補になると思っているのは2箇所です。
大田区
多摩川線と池上線の間に雪谷検車区をリニューアルする形で車庫を新設します。大田区が多摩川線と東横線の相互直通運転を構想しているため、それに伴って車庫を新設する案です。
というより車庫を新設しないと相互直通運転は実現できません。当然、車庫建設のための用地確保が必要になりますし、多摩川線は18m車3両分しかホーム有効長がないため、大規模な改修工事が必要になります。
この車庫新設を行うだけの覚悟が大田区にあるでしょうか?まあ、ないだろうと思います。
横浜の本牧地区
みなとみらい線には本牧地区への延伸計画があります。この本牧地区延伸に伴う列車本数増と併せて、東横線の車両留置場所を確保する目的で大規模な車庫を新設する案です。
1つ目の案と同じく莫大な費用を伴う点は言うまでもありません。みなとみらい線では、現在終点の元町・中華街で既存線を延伸する形で留置線の整備が進んでいますが、この工事に際して地元住民と揉めたそうなので、本牧延伸に際しても色々と難航することになりそうです。
駅ごとの夜間留置状況
新横浜
東急目黒8両1本
都営6両1本
元町・中華街
東急東横8両2本
東急横浜
東急東横8両1本
菊名
東急東横8両3本
日吉
東急目黒8両2本
メトロ南北6両1本
元住吉
東急東横8両3本(2,5,6番)
車庫留置(車庫収容力:4両1本+6両1本+8両26本+10両13本、合計留置両数:6両3本+8両24本+10両13本=332両)
東急東横8両13+3本
東急東横10両6+2本
メトロ10両2本
西武10両1本
東武10両2本
メトロ副都心8両2本
東急目黒8両4+2本
メトロ南北6両1本
都営6両1本
埼玉高速6両1本
80m4両1本
140m7両1本
165m8両8本
205m10両3本
245m12両2本
275m13両1本
300m15両2本
325m16両9本
検査線160m8両1本
検査線200m10両2本
洗浄線200m10両2本
転削線305m15両1本
武蔵小杉
東急目黒8両2本
田園調布
夜間留置設定なし
自由が丘
東急東横8両2本
祐天寺
夜間留置設定なし
中目黒
メトロ7両3本
渋谷
東急東横8両1本
メトロ副都心8両1本
奥沢
東急目黒8両4本
メトロ南北6両1本
都営6両1本
夜間留置設定なし
武蔵小山
東急目黒8両2本
目黒
東急目黒8両1本
所感
元住吉関連の線区ではほぼ全ての停車場に夜間留置が設定されているばかりか、元住吉・日吉・元町中華街の3駅で保守車両の行き来を妨げるほどの列車本数が留置されています。東急が相鉄側に東急車の夜間留置場所を求めるのも当然といった所でしょうか。
現在元町・中華街に引き上げ線を4本整備する工事が進められていますが、それによって朝ラッシュの増発が行われることはないでしょう。過剰に営業線上に留置されている状況が解消されるだけかと思います。
下記記事で紹介していますが、相鉄や東京メトロも夜間留置はギリギリの状況ですので、いかに夜間留置場所の確保が死活問題かが分かります。
まとめ
車庫増設は是非して欲しいですが、時間もお金もかかる項目です。直近の輸送改善はやはり目黒線の車両増結といった所でしょうか。
全ては東京メトロと都営交通局次第。今後の動向に注目です。
また目黒線系統をもし20分サイクルダイヤにしたらどうなるか考察しましたので、是非下記記事もご覧ください!
コメント
こんにちは。
本牧地区の延伸は夢があると私は思います。
本牧地区は住宅街があり、また、大きい公園があったりする場所ですが、
現状は鉄道空白地帯になっています。
ただ、路線バスがあると思うので、
それでどれだけ賄えているかですね。
もし、仮に本牧地区に延伸するのであれば、
根岸駅まで延伸するのかなと勝手に思っています。
ただ、心配なのが需要がどの程度あるかですね。
私は本牧地区に数回遊びに行ったことがあるだけの人間ですので、
的外れな内容でしたら申し訳ございません。
根岸駅はアリかもしれませんね。根岸駅の近くには根岸住宅地区という在日アメリカ海軍から返還された広大な土地があるので、そこなら車両基地を建設出来そうです。
お返事ありがとうございます。
そうすると、もし実現するのであれば、
新空港線直通が更に現実的になりそうです。
心配なのは、「根岸行き」よりも「元町・中華街行き」の方がインパクトが大きい気がするということくらいですかね。
全列車が根岸駅まで行くとは思えないので、特急はあえて元町・中華街止まりにした方が良いような気もします。
JR線に直通すれば「鎌倉駅行き」とか設定できるかもしれませんが、まあ可能性は低いでしょうね。
>新空港線直通が更に現実的になりそうです。
新空港線は車庫を増設しなくても京急蒲田駅までなら現行設備で延伸可能ですよ。
>全列車が根岸駅まで行くとは思えないので、特急はあえて元町・中華街止まりにした方が良いような気もします。
いや、みなとみらい線は設備が貧弱なので、特急の元町・中華街止まりは無理ですね。全列車根岸駅まで直通になると思います。
お返事遅くなりました。
実際はなってみないと分からないですね。
根岸駅までなら、
そこまで大した距離ではないので元町中華街では折り返さないというのも、
可能性としてはありそうですね。
私のコメントが分かりづらく申し訳ございませんが、
実は、特急の元町中華街止まりは元町中華街では折り返さず回送の可能性も考慮しています。
実際に朝の通勤時間帯において、
渋谷止まりの急行、特急を渋谷到着後に日吉まで回送し、
日吉始発の急行として運転しているという現状があります。
回送にすることによるメリットは始発駅での着席機会の提供と電力の節約、混雑の分散、両数の統一です。
行先のインパクト低下については、
「横浜・根岸行き」といったようなJR北海道と同じ方式にすることで対応可能な気がするため、
元町中華街行きを設定する理由にはならないとよく考えたら思いました。
新空港線についてはどこまで延伸するのかによっても変わってくると思うので、
まだ決まっていないことが多い印象はあります。